日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

川崎中1殺害事件/このような悲劇を繰り返さないために

 事件が起こってしまった要因はなんでしょうか。
 

川崎市教育委員会は、事件を防げなかった要因として「学校が被害者の状況を十分に把握できなかったことにある」と結論づけました。

 やはり、学校の責任はあるんじゃないかと思います。
 学校の先生たちが、子どもの学力を向上させるために、授業研究を毎日遅い時間までしていることは存じ上げています。ただ、学校の先生の仕事は学力向上だけではないと思います。
 学校は、困った状況になっている子どもを発見できる唯一の場所という役割を担っていると思うからです。近所とのつながりも希薄になっている今、発見できるのは学校しかありません。そこは先生たちに頑張っていただくしかないでしょう。
 それに、母子家庭のお母さんがひとりで稼いで家計を支えようとしたら、毎日くたくたになるまで働くことになり、役所にも学校にも自分から行かないと思います。相談機関へ出向くには仕事を休まなくてはならず、休んだら、その分、給料が減ってしまうからです。
 だからこそ、今回の事件でいえば、学校はスクールソーシャルワーカー(SSW)さんを要請して、お母さんが少しでも子どもといる時間を増やすために、できる支援はないのかを、考えてみてほしかったと思います。
 貧困家庭かどうかは、外から見ているだけではわからないですし、見つけるのは難しいと思います。しかし、金銭的に恵まれない子どもを放置したら、将来は犯罪者になってしまう可能性があります。よりよい社会をつくっていくためにも、社会は子どもたちを見捨てず、立派な納税者に育てる必要があるはずです。


 それともうひとつ、「学校という垣根を越えたトラブルだったこと」もポイントだと思います。
 学校はこれまで、学校内の生徒間のトラブルに介入してきました。いじめも。ケンカも。しかし、この事件で明るみになったのは地域の不良少年と男子生徒のトラブルです。学校の外の世界の話です。
 男子生徒の学校の友達がラインでトラブルを知っていながら、誰も学校の先生に相談しなかったのは、「先生に相談することじゃない」と思っていた可能性があると思います。だからといって、警察に通報はできませんよね。こわくて。復讐されるかもしれないし。
 学校の外でのトラブルになると、中学校の先生が出ていって解決するのは無理でしょう。かといって、警察の出番かというと、そこまで大きな問題でもないわけです。入院するほどのケガを負ったとか、乱闘事件が起きたとか、そのような大きな事件が起こっていなければ、「警察は動いてくれない」と考えるのが普通です。
 
 しかしですね、いじめが学校内だけの話だったのは、中学生にスマホが普及する前までの話だと思います。今はみんな、簡単につながってしまえる時代になったのですから、トラブルも学校を越えて起こってきてもおかしくないでしょう。
つまり、大人たちのシステムを変える必要がある、ということです。警察と地域の中学校の生徒指導の先生たちが情報を共有し、要注意の子どもが出てきたら、その子の家庭環境を改善するべく、生徒指導の先生と福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカー(SSW)さんが協力して取り組んで欲しいと思っています。
 夜の街をうろつく子どもたちは、家庭に何らか問題を抱えているケースが多いですから、SSWさんに活躍していただきたいところです。