記事にしなかった話② ある愛情あふれる校長先生の話2
前回の続きです。
校長先生は無線機をつけなかったし、警察OBにもお引き取り願い、校内をうろうろしている生徒に話を聴いたそうです。
わかったことは、その生徒たちがなぜうろうろしているかというと、それは勉強が嫌だから。
勉強が小学校のときから苦手で、勉強が怖くて逃げ回っていたわけです。
この学校は問題を抱えているわけですから、当然、生徒指導とか、人権とか、いろんな研究指定を受けていました。
先生たちはいろんなことをさせられるのに全然効果がなく、疲れ切っています。
だから、いろんな指定を全部断り、授業改革にしぼったそうです。
まずは先生の意識を変えるところから始めていったのです。
上から目線をやめて。
子どもの心の動きを専門家から学んで。
授業のやり方を工夫して。
特別支援教育の視点を加えて。
授業中に生徒をほめて。
自主学習を始めて。
このほかに、
放課後や夏休みには地域の人に補習に参加してもらって、生徒を励ましてもらったり。
全部説明するとものすごく長くなってしまうので、この辺にしておきますが、本当にいろいろなことをなさった結果、活気のある地域の人気校に変わりました。
この中学校が学校改善に成功した根本には「この学校の生徒には何が必要か」を校長先生が把握していたことがあると思います。
A中学校で成功したやり方が、B中学校で通用するとは限らないですからね。
この学校の生徒に必要なのは…愛情でした。
今までの人生で親に愛された経験のない子どもたちがたくさんいるのですから。
命令口調で言っても反発されて、学校が混乱するだけです。
教員は父親のように母親のように愛情をもって接していかないと。
だからと言って、優しければいいってもんでもないんですね。
子どもの心に寄り添ってとことん話を聴いてあげる先生って、どこの学校にもいらっしゃいます。決して怒らないで、常に生徒の味方になってくれますから、ワルの生徒からは人気が出ます。でも、それだけじゃ足りないと思います。何も変わらないから。
この校長先生はそれだけじゃないんですね。
愛情を持って話をきいてあげて、さらに未来を見せてあげるような声がけをしたんですよね。ゆっくりでいいから、変わっていこうねと。
人間はたった一度のきっかけで変われるものではなく、何度も何度も間違えて、ゆっくりゆっくり変わっていくものだとご存じだからです。
「子どもはレッテルを貼るものではなく、可能性を信じて応援するもの」とおっしゃっていたのが印象的でした。