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日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

教員の長時間労働の縮減には、給特法の改正が必要

教育雑誌では、毎年、「長時間労働の縮減のためにはどうしたらいいのか」というテーマの特集を組むことになっています。もう何十年間もずっとです。

たいてい記事の内容は業務改善でした。学校レベルでできること、教員レベルでできることを紹介してきました。

でも、全然改善しなかったのです。

 

今年も私はこの特集を担当したのですが、今までとはちょっと違いました。

今年は法律的な面を取り上げたのです(詳しくは「総合教育技術」2017年5月号をごらんください)。

そこから見えてきたのは、長時間労働の縮減には、給特法を改正する必要があるのではないかということです。

 

給特法は、昭和47年に施行されました。正式には「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」といいます。

地方公務員の勤務時間は一日7時間45分、週38時間45分と定められています。それを超える時間外勤務をした場合は、労働基準法第37条に則り、時間外勤務手当、休日勤務手当を支払うことになっています。

教員は地方公務員ですから、本来ならばこうするべきなのですが、給特法で労働基準法第37条が適用除外にされているのです。

その理由は、「教員には夏休みなどの長期休暇があるし、自発性、創造性に基づく勤務を期待している」から、他の労働者のように勤務時間を測定するのは難しいと、昭和47年に判断されたからです。昭和47年ですからね。もう大昔の話です。

そのかわりに、給料の月額の4%を教職調整額として支給することにしたのです。教員はどうせみんな残業するだろうから、あらかじめ4%分を多く払っておくから、時間外勤務手当は払わないよ、ということです。

給特法の問題点1●歯止めになっていない

そして、教員の時間外勤務の増大に歯止めをかけるために、給特法では「学校は教員に原則として時間外勤務を命じてはいけない」ことにしたのです。ただ、臨時または緊急の場合は時間外勤務を命じることができるようになっています。これが「超勤4項目」と呼ばれるものです。①生徒の実習、②学校行事、③職員会議、④非常災害の場合、児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合の4項目です。

しかし、教員は上記の①~④で時間外勤務をしているわけではありません。教員は学校の命令ではなく、自主的に時間外勤務を行っていることになっています。つまり、給特法は長時間労働の歯止めにはなっていないのです。

給特法の問題点2●勤務時間に無頓着になった

学校は、時間外勤務手当を払う必要がないわけですから、教員の労働時間を把握する必要がありません。最近は校務支援システムの導入で出退勤をチェックする学校もありますが、全国には、今でもタイムカードさえない学校もあるのです。最近は以前に比べれば、勤務時間への意識が高まってきたかとは思いますが、「働きたければ、好きなだけどうぞ」という状態にずっとなっていたのです。

 

給特法の問題点3●時間外勤務手当を払えない

それなら、「給特法を改正して、教職調整額を支払うのをやめて、働いた分だけ時間外勤務手当をきちんと払えばいいじゃないか」と思うかもしれません。しかし、それは現実的ではありません。全国の教員に、今の状態で時間外勤務手当をきちんと払おうと思ったら、それはそれは大変な金額になり、その財源が確保できないからです。

 

◎給特法をどのように改正するか

では、給特法をどのように改正したらいいのかというと、連合総研の報告書(昨年12月公表)で提案されている調整休暇制度の導入が現実的ではないかと思います。

例えば、教員が時間外勤務をした場合、現在の教職調整額の範囲内で時間外勤務手当を支給します。それを超える分は、時間外勤務をした時間を貯めていって、夏休みや冬休みなどの長期休暇中にその分だけ休めるようにするのです。

ただ、これを実現するには、夏休みや冬休みの使い方を変える必要があります。例えば「半月間、完全に学校を閉める」とか、ですね。この決断ができるのは文科省です。

文科省の皆様が思い切って、「長期休業中は学校を閉める」という決断をしてくだされば、教員の長時間労働の縮減はできるのではないでしょうか。