日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

全国学力調査と素晴らしい授業の話。

平成29年度の「全国学力・学習状況調査」の結果を受けまして、現在、上位県、上位政令市の取材を行っています。

 

昨日はある小学校で算数の授業を見せていただきました。

子どもたちの動き、反応がよかったです。31人が先生の指示でさっと動きます。

なんて書くと、ロボットのような画一的な動きを想像する方もいるかもしれませんが、そうじゃありません。キビキビと、前向きに、自分の意志で子どもが動いていくんですよ。教室にあるのはプラスのエネルギーです。子どもたちの知的好奇心に火をつけたといいますか、子どもたちをその気にさせているのです。

 

担任は女性の30代ぐらいの先生です。表情豊かで、まるで舞台を見ているかのような気分になりました。

授業ってあらかじめオチが決まっているわけです。先生は知っているのに知らんふりをして、子どもたちから様々な意見を引き出していくわけです。私は授業を見ていたら、「この先生のお芝居に乗せられてみたい」、そんな気分になりました。

子どもたちもきっとそう思ってるんじゃないかと思うんですよ。「この先生、なんかおもしろいから、先生の話に乗っかってやろうじゃん。だから、うま~く乗せてよね」みたいな……。

 

全国学力・学習状況調査に関しては、「競争をあおるべきではない」という批判的な意見もあります。

ただ、これをやることによって、現場の意識が確実に変わりました。以前は、教員たちは「授業で何を教えるか」を重視していたのです。つまり、教員たちは教える方法を熱心に研究し、こんな素晴らしい授業をしているのに、それが理解できない子がいるのは、その子自身の問題だからしょうがないでしょう、とされていたのです。

しかし、学力調査の結果にでてくるのは、子どもがどう理解したか、です。その結果、子どもがどう受け止めるかを重視して、授業を考えるようになったのです。これは非常に大きな発想の転換であり、近年の授業改善はこのような発想で行われています。

そして、子どもにとって「わかる授業」になると、子どもは前向きに授業に取り組みます。子どもの反応がよくなると、先生も楽しくなり、もっと授業を工夫します。そうやって好循環が生まれるわけです。つまり、成績のいい学校が、必ずしもつめこみ式でビシバシ勉強させているわけではなく、むしろ先生も子どもも、授業の中で生き生きしているケースもあるということです。 

 

問題なのは、学力調査の直前に、つめこみで、過去の問題をやらせる学校もあるってことなんですよね……。まぁ、これは文科省がやめろといったって、やる県・学校はあるでしょう。

しかしですね、国語にも算数にも、A問題とB問題があります。A問題はつめこめば何とか点がとれるとされていますが、B問題というのは、直前につめこみをしても点がとれないようになっていますのでね。B問題で高い点を取るには、日ごろの授業が大事、ということです。

 

そんなわけで、昨日見た授業は、子どもたちをその気にさせていて素晴らしかったです。学力調査で上位にくるのも納得です。つめこむのではなくて、こんなふうに全国で授業改善が進むといいなと思っています。