学力上位の県こそ、働き方改革をしてほしい!
10月は、平成29年度の全国学力・学習状況調査の結果で上位になった自治体、学校の取材をしていました(まだ雑誌の発売前なので、どこに行ったかは書きませんが……)。
今回の取材の主旨は学力向上です。ですから、学力向上のために自治体、学校ではどんなことをしているのかを聞いてきました。
ただ、私は今回、自治体には、働き方改革の質問もしてみました。
「もしも何か、とっておきの方法があったら教えてください」と。
その結果、返ってきたのは「担当部署が違うのでよくわかりません」という返事です。
当たり前と言えば、当たり前ですが、ここに問題があると思うのです。
学力向上は学力向上、働き方改革は働き方改革と、縦割りでやってるから、現実的な改善策が出てこないんじゃないでしょうか。
学力向上チームは、学力向上の目的を達成することだけ考えて対策を考え、「子どものため」に仕事を増やし……、一方、働き方改革チームは、他の部署と関係なさそうな業務改善だけしている……。
業務改善は大事だとは思うんですけど、学力向上のために仕事を増やしてたら、働き方改革にはならないと思うんですよ。
学力向上の対策を考える会議に、働き方改革のチームも入って、教員に無理がかからないかどうか、検討すべきでしょう。具体的に、新たに何を始めて、反対に、何をやめるのか、あるいは、これは2年に一度にしましょうなどと頻度を下げるとか、一緒に吟味する必要があると思います。そうしないと、仕事は増える一方です。
それともう一つ大事なことはあります。
全国学力調査の結果が下位の県が「働き方改革」をしても、説得力がありません。「楽をしたいだけ」と保護者や地域の人から非難されてしまうでしょう。それがわかっているから、全国の多くの県では思い切った働き方改革ができないんですよ。
学校で今現在やってることは、みんな大事なことです。やったほうがいいことなんですよ。その中から、あえて何をやめるのかを判断するのは難しいですからね。安易にやめれば、何か事件が起きた時、「あれをやめたからダメなんだ」と言われてしまうでしょう。
やはり、上位の県に、「うちの県ではこれはやめて、教員に余裕ができました。でも、学力は高いですよ」と言ってほしい…。
そうすれば、それがあっという間に、日本中に広まりますよ。他の県も堂々と働き方改革ができます。
上位の県の関係者の皆様には、ぜひ学力向上と「働き方改革」を両立させ、見本になっていただきたいと願っております。