日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

キャリア教育で学力が向上する理由

先月は、キャリア教育の取材をしました。

キャリア教育には二つの柱があります。

一つ目は、地域や企業と連携して行う活動です。

商店街で何かを販売するとか、職業体験をするとか、地域のボランティア活動をするとか、企業とコラボするとか、そういう活動もあります。それは子どもにとって、社会とつながるチャンスであり、視野が広がりますし、楽しい体験になると思います。

二つ目は、日頃の教科活動の中で行う活動です。

具体的には「今、学んでることは、自分のどんな力を伸ばすためにしていて、これが自分の将来にどんなふうにつながるのか」などを授業の中で確認していくのです。「キャリア教育」と聞くと、「一つ目」を想像する方が多く、こちらはあまりピンとこないのではないでしょうか。私もそうでした。でも、こちらがとても重要なのです。

 

キャリア教育の視点を明確にしていない授業の中では、子どもは先生から「やりなさい」と言われた作業を、ダラダラやるわけです。何のためにやるのか、そんなことは知りません。漠然といわれた通りに動いて、そうやって一日が終わっていました。だから、作業をしてはみても、全然身になりませんでした。

そうではなくて、「これは何のためにやるのか」を子どもたちに考えさせ、いちいち確認しながら進めていくのです。これをやると、子どもたちの反応が違ってきます。将来について考えますし、子どもが元々もっている「成長したい」という願望が刺激され、学習意欲が高まります。

その結果、キャリア教育に熱心に取り組んだ学校は、学力が向上することが多いのです。

(もっと詳しく知りたい方は、2月15日発売の「総合教育技術」2019年3月号をご覧ください。記事を書きました。)

 

全国学力・学習状況調査の上位県といえば、秋田県です。

私は秋田県の中でも、学力の高い小学校を取材したことがあります。

その小学校では、キャリア教育という名称は使っていませんでしたが、「今、何の力を伸ばすために何をするのか」というあたりを授業中に非常に丁寧に確認していました。

授業の中で、漠然と作業のしかたを教えるのではなく、きちんとその意義も含めて教えることには、大きな意味があるのです。