日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

デジタル化で、学校の先生の役割が変わる……希望的観測

先日、ある医師の記事を読みまして、「これは学校現場にも通じるのではないか」と感じましたので、書いておきます。

記事の内容をざっとまとめますと……。

その医師の専門は、がん治療です。以前は、スーパードクターみたいな人がいて、その人の手術を受けるために全国から患者さんが集まってきたそうです。しかし、今は標準治療というものが確立されて、全国のどこに住んでいても、同じ治療が受けられるようになりました。その結果、スーパードクターは必要なくなりました。お医者さんの役割は、一人一人の患者さんの声に耳を傾け、様々な状況から総合的に判断して、その人に合った治療の選択肢を提案すること、になったそうです。

 

この話は、教育現場に置き換えることができると思うのです。

学校界隈ではずっと、ごく一部のスーパーティーチャーが活躍してきました。優れた授業技術を持っている先生たちで、尊敬されてきました。それは今も続いています。

でも、GIGAスクール構想で、一人一台の端末が配備され、授業の進め方が変わりつつあります。ドリルのソフトなどを使えば、子どもが一人でも学習できるようにもなっています。

今後、デジタル教科書がもっと普及すれば、授業準備にそれほど手間をかけなくても、レベルの高い授業がやりやすくなることでしょう。優れたデジタル教材を使えば、誰でも一定のレベルの授業ができるようになります。

そうなると、次に先生たちに求められる役割は、一人一人の子どもに合った学び方を提案したり、心に寄り添ってやることなのではないでしょうか。一人一人の育ちを見て、課題を見つけ出したり、あるときはほめたりして、よりよい方法を提案していく……。

 

今までは教室という広い場所に、たくさんの子どもを集めて、授業をする必要がありました。だから、スーパーティーチャーが必要でした。大勢の子どもに、一斉にどうやって教えるのかが重要だったのです。

しかし、時代は変わり、文科省は「個別最適な学び」をしましょう、と言っています。その子に合った学び方を大事にしていくことになっています。授業でも、ついていけない子ども放置するのではなく、一人一人をよく見て対応していくことが求められています。

それに加え、経済的に困難を抱えた子どもたち、気持ちが不安定になりがちな子どもたちに寄り添って、「勉強しよう」という気持ちにしてやれるのは、学校の先生だけです。

 

今はもう、時代の転換期に入っているのかもしれません。

これから求められるのは、一斉授業の指導法のスーパーティーチャーではなく、一人一人の子どもの成長を総合的にアシストする先生なのではないでしょうか。

学校の場合は、変化がかなりゆっくりになりますので、教員の世代交代をしながら……になるでしょうが、「子どもの成長を総合的にアシストする先生」という役割が重視されていくのかなと感じています。