日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

学校のプール開放時の事故を防ぐには。

三重県四日市市の小学校で、低学年用プールにいた3年生の男子児童が溺れているのを監視していた保護者が見つけました。市内の病院に搬送されましたが、搬送時に意識はなく、集中治療室(ICU)に入っているそうです。

 プールは長さ25m×幅13mで、低学年用の水深は約60㎝。プールには計約60人の児童がいて、保護者ら7人が監視していました。プールの開放は市教委がPTAに委託して実施しています。

 

まず、この男子児童が、早く回復することを願っています。

 

教員の多忙解消という意味でも、PTAに「委託」すること自体は悪いことではないと思います。教員は立ち会わないで、保護者がプールの監視を行っている学校は、他にもあるはずです。

夏休み中、どこにも旅行に行けない子もいます。

「プールは危険だから中止」にしてしまったら、夏休みの楽しみがなくなってしまいます。できたらプール開放は存続していただきたい気がします。

しかし、このような事故が起きてしまうと、なんらかの対策を考えないといけないでしょう。

 

私が思い付く対策は、3つです。

対策1 教員にプールの監視をお願いする。市教委としては簡単で安上がりですが、教員の負担軽減という流れから遠ざかります。プール開放の回数を減らす、という条件つきならばいいかもしれません。

対策2 外部からプール監視員を雇うのです。公営のプールなどでは、大学生の監視員がアルバイトしているわけですから、そのような、人命救助の研修を受けた人たちを配置するのです。監視員の人件費は、PTA会費から払ってもらえば、いいように思います。

対策4 PTA、地域の人の有志に市の研修を受けてもらい、プール監視員に認定します。たとえば、6人で監視するとしたら、このプール監視員が必ず毎回1人はつくようにし、他は一般の保護者でOK。見ているだけなら誰でもできますが、いざというときの対応は、専門的に学んでいないとできないと思うからです。「自分たちの子どもは、自分たちで守る」という発想は大事だと思います。

第6回「教育と笑いの会」に行ってきました。

土曜日は、第6回「教育と笑いの会」に出かけ、たくさん笑ってまいりました。

会長は岐阜聖徳学園大学教授で、元中学校校長の玉置崇先生です。玉置先生の趣味が落語だとはうかがっておりましたが、落語を話される場面を見るのは初めてでした。

最初の会長あいさつから、笑いをとっていかれました。

 

そして、授業名人の野口芳宏先生にも久しぶりにお目にかかりました。80歳をすでに超えていらっしゃいますが、弁舌が冴え、相変わらずパワフルです。

 

野中信行先生の話もおもしろかったです。新学期の出会いの3日間に何をするかを、おもしろおかしく話してくださって、先生をしているような方は表情が豊かで、声も通るんだなということを再確認しました。

 

それから、プロの落語家さんが二人、落語を披露してくださったんですけど……聞いていて、こういう楽しみ方を忘れていたと気付きました。

だって、日ごろ、感動するものといえば、目で見えるものが多いですよね。

いい景色も、テレビも漫画も。映画も。絵画も写真も。

でも、落語って、落語家さんの言葉やしぐさから想像しなくちゃいけないんです。

女郎さんがいてとか、部屋で今何をしていて……とか。

なんて高度な娯楽でしょう。

普段使わない脳をフル回転させた気がします。

 

この会にはシンポジウムもありました。いろいろな話が出たんですが、印象に残ったのは「人間は師匠を持つことが大事」ということです。

師匠がいれば、この人に迷惑をかけたくないとの思いがでてきて、無茶をしなくなります。なるほどな~と思いました。

 

「一時間の授業で一度も笑わせられなかった教員は、逮捕する!」

これは故有田先生の有名なお言葉です。

学校には笑いが必要ですよね。

先生たちには、子どもをいっぱい笑わせてあげて欲しいなと思ってしまいました。

「窓から飛び降りろ」はダメ! 暴言を防ぐ対策は?

所沢市の小学校で、40代の男性教師が、鉛筆削りの貸し借りを巡って言い争っていた小学4年の男子児童に、「今すぐ窓から飛び降りろ」「命が惜しいのか。早く飛び降りろ」などと3階の教室から飛び降りるよう何度も迫ったんだとか。

まず、この男子児童が、このことを大人に言えて、よかったです。こんなことを言われたら、学校には行きたくないですよね。怖くて。

想像してみてください。

40代の大人の男性が、10歳の子どもに対してこんな言葉を投げつけなきゃならない状況を……。

おそらく、このクラスは制御不能になってたんじゃないかと思われます。

「やめなさい」ぐらいでは効果がないから、どんどんきついことを言うようになったのでしょう。

 

男性教師と男子児童がどういう人物なのかは、情報がないのでわかりませんから、どっちが悪いとか、そういう話は横に置いて。

(男性教師にストレスがたまってたのなら、解消する方法をご自身で考えてもらったほうがいいですし。)

 

このような事態を防ぐにはどんなシステムが必要かを考えてみます。

 

今後、このようなことがないようにするにはどうすればいいかというと……クラスに担任が一人じゃ足りないということでしょう。

クラス担任はふたり。

曜日で交代とか。

あるいは、学年に一人、全クラスに入る先生というのをつくって、日替わりで各クラスで過ごすとか。

あと、これは先生たちが嫌がるでしょうけど、教員OBOGがいつでも授業を見にきていいことにするとか。60歳で退職されたばかりの先生たちは、みなさん元気ですからね。気軽に学校にきてもらっては、いかがでしょう。あくまでも、学校経営に余計な口出しはしないという約束で。

 

もしもこの男性教師の他に、もう一人大人がクラスにいたら、男性教師にブレーキがかかったんじゃないかと思うんですよ。

担任が絶対的な王様に君臨してしまうから、ノーチェックでひどいことが行われてしまい、どんどんエスカレートしてしまうのです。

教室のドアをつねにオープンにして、風通しをよくするのは大事なことでしょう。

 

どの学校でも、校長先生や教頭先生が日常的に校内を回って、授業観察をしておりますが、全クラスを見てまわるわけですからね。1クラスを見ている時間は短いのです。このクラスはやばいなと、なんとなく雰囲気はわかっても、さすがに管理職がいたら、教師も言葉を慎みますよね。暴言の現場をおさえることは困難です。

やっぱり、クラスに日常的に複数の大人が入ったほうがいいと思うんですよ。

それには……教員の数を増やしてほしいですけど、それが無理なら、教員OBに協力を求めたらいかがでしょうか。

部活動問題を鋭意取材中です。

現在、中学校の部活動問題について、取材中です。

この問題、ものすごくおもしろいです。

発売前なので、詳細はまだ書けませんが、

ただひとついえることは、その根本にあるのは「少子化」だということです。

 

例えば、10年前に500人生徒がいた中学校が、今は300人になっているのです。

マイナス200人。

それに伴って学校に配属される先生の数が減り、先生たちがこんなに忙しくなってしまったわけです。

もう、サッカーや野球は、一校では部活ができなくなりつつあります。

どこの学校も、規模が縮小し、これまでのやり方では維持できなくなっているのです。

 

このように、今は少子化の影響が、学校に顕著に出てきていますが、今後社会のあちこちに出てくることになるでしょう。

 

つまりですね、我々はダウンサイジングする社会に直面しているということです。

 

「こういうの、あったらいいですよね」と選択肢を増やしてきた社会から、「人がいないからこれはできない。廃止しよう」「次は何をやめようか」と、選択肢を減らしていく社会へ突入してしまったのですよ。

人々の欲望をどんどん具現化できる時代から、あきらめ、我慢する時代へ。

そして、どうしても叶えたい願いがあるのなら、行政や学校に頼っても無駄で、自分で動くしかない時代……。

 

だから、今この国がもっとも力を入れなくてはいけないのは、少子化対策なんだと思います。

そういう意味では、東京都が待機児童対策にお金をつぎこんでいるのは、間違いじゃないってことです。

総合教育技術2017年8月号が発売されました!

私が執筆しました「総合教育技術」8月号が発売されました。

今回は「『チーム学校』を築く情報発信力!」の部分を担当しました。

学校のホームページを、何年も放置している学校が全国にたくさんあります。校長先生が誰なのかわからないホームページもたくさんあります。

どういうわけだか多くの学校は、いろんなことを隠したがるのです。

でも、それはもったいないことです。

ホームページを戦略的に使って、学校経営にプラスの効果をもたらしている学校があるのです。

ただし、いいことばかり紹介してもダメなようです。

これからはよくないところもどんどん見せていかないと……。

保護者や地域の方に協力してもらいたいのなら、ホームページで情報を発信して、まずは学校のことをもっと知ってもらいましょう、というお話です。

 

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教員を大量採用すると、かえって忙しくなるらしい。

あるサイトで、私がお会いしたことのあるイケメン先生の記事を読みました。

「人手不足だからといって教員を大量採用すると、かえって忙しくなる」と。

その理由は、大量採用により、本来、教員にならないような人、つまり、本気で教員になりたいわけじゃない人、能力が劣っている人も教員になれてしまって、質が落ちてしまうから……。実際に大量採用した自治体では、荒れたクラスが増えてしまったんだそうですよ。

そうすると、周りのベテラン先生たちがいろいろフォローしないといけないですからね。確かに忙しくなりますね。

おっしゃる通りです。

 

しかしですね。ここで終わらせず、ちょっと考えてみていただきたいのです。

今のまま教員の長時間労働を放置すると、どうなるでしょう。

今や教員がブラック職業だということは、国民のほとんどが知っていますよ。

その結果どうなるかというと……現実的な人は教員を避けますよね。優秀な人が教員という職業を選ばなくなります。

大量採用しなくたって、このままいくと、質は落ちていくでしょう。

そういう意味では、この国の教育は今ものすごく危機に直面していると思うんですよ。

 

長時間労働を改善するためには、人を増やすか、仕事量を減らすか、そのどちらかをする必要があります。

人を増やすことでかえって現場の先生が忙しくなるというのなら、とりあえず、今すぐにでも、仕事を減らすことに着手すべきだということですね。

道徳の教科化でいじめは防げるのか?

小学校では2018(平成30)年度から、中学校では2019(平成31)年度から「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」になります。つまり、道徳が教科になるのです。

現在、道徳の時間は……行事などにより、つぶされていたりします。成績をつけないから、優先順位が下なのです。

「道徳をちゃんと教えないから、いじめが起こるんだよ」と思う方もいるかもしれませんが、授業をすればいいってものではないと思います。

 

一般に、道徳の授業には教則本などを使い、「いい話」を読むわけですが、授業の中で「こういうとき、あなたならどうしますか?」と先生から聞かれて、いかに自分が善人であるか、模範的であるかをアピールし合うかのような、そういう授業になる可能性があるからです。

大人が求めている答えを、子どもはわかっていて、それを言うわけです。

子どもはいじめがいけないことだと、ちゃんと知っています。授業で先生からきかれたら、「いじめはいけない」と答えるでしょう。それでもいじめをしたり、加担したりしてしまうことがあります。

授業は授業、現実は現実、で分けて考えているからです。

 

以前、道徳で素晴らしい実践をしている先生を取材したことがあります。練りに練ったオリジナルの授業はおもしろくて、同時に子どもたちに本気で考えさせます。

そういう先生も、いるところにはいます。それは知っています。

でも、多くの先生はそんなに授業の準備に時間がかけられないのではないかと思います。

ですから、このままですと、教則本を読んで話し合う、というパターンになってしまうんだと思います……。

 

それならいっそ、首都大学東京の木村草太教授がおっしゃるように、法律を教えたほうがいじめの抑止効果があるのではないかと思います。

いじめという言葉の中には、脅迫、恐喝、暴行、傷害、強盗などが入っていること、いじめを行うと、どんな罪になり、警察はどう対応し、加害者にはどんなことが待っているか……などを教えたほうが、少なくとも事の重大さに気づけるのではないでしょうか。