すでに退職された中学校の校長先生の話です。
学校に、生徒が悪いことをしたときビシッと叱る先生と、決して怒らない甘い先生がいるとします。
どちらが生徒に人気があるかというと、当然、甘い先生です。何でも許してくれるから。
でも、それじゃ子どもは成長しないわけですよね。悪い子はずっと悪いまま。長い目で見た時、どっちが子どものためになるんでしょうかね…。
この校長先生は教員時代、甘いタイプの先生をしたこともあるそうです。なぜかというと、その学校には厳しいタイプの先生がちゃんといたから。そうしたら、生徒からすごく人気が出て、「甘やかすだけの教員を一生やっていられたら、どんなに楽だろうと思った」と言っていました。
子どもを叱ると最近は「うちの子をしかるな」と保護者から苦情が来ます。
でも、その校長先生は「褒めよ叱るな」は間違ってるというのです。
子どもが悪いことをしたとき、叱られて悩んで、自分の行動を変えて、みんなから承認にされたときに自分は大人になったという自己認識が向上する、これが教育であるとの持論をお持ちです。
それに、叱るということは、その子どもに責任の取り方を教えることにもなります。もしもいじめをした子供が、叱られないで放任されたら、罪は浄化されず、いじめた記憶はずっと残り続けるわけです。叱られて、責任を取ることで罪悪感を消化することができるのです。
なんでもかんでも子どもの言うことを受容すればいいのではなく、中学生がタバコを吸ったらそれはダメだと厳しい先生が叱らなくてはいけない。そして子どもが自分の行動を変えた時、今度は優しい先生がほめてあげる。
学校にはいろんなタイプの先生がいてよくて、大事なのは役割分担なのだと言っておられました。
でも、この先生はいつも生徒を叱ってばかりかというと、そんなことはなくて9割はほめて、1割は叱る、そんな感じだったそうです。