日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

いじめをなくす授業とは? 「木原雅子さんの出張授業」から学ぶこと

「学校でいじめがあった」と報道されると、世間の多くの方は、「学校はいじめの授業をすればいいじゃないか」と思うのではないでしょうか。

私もかつてはそうでした。

「いじめはいけない、と授業でちゃんと教えないからいじめが起こるんだろう」と。

でも、「いじめの授業をしても、いじめはなくならない」そうですよ。

むしろ、唐突にいじめの授業などしますと、教室の中は「誰が先生にチクッたんだ」と険悪なムードになるとか。

 

じゃあ、どんな授業をしたらいいのかといいますと……、

昨晩Eテレでやってた、「木原雅子さんの出張授業」です。

ある中学校の、荒れているクラスが再生していくドキュメンタリーです。

最初のころは、みんな、いつ自分がいじめの標的にされるかもしれないと、びくびくしています。先生に協力的な発言をすれば、それだけでいじめられるかもしれない……。だから、先生を共通の敵にして、暴言を吐き、悪い意味で結束していた、そんな感じでしょうか。こういうクラスでは、お互いに足を引っ張り合う感じで前向きなことは言えませんよね。放置すれば、どんどん荒んでいくだけです。

京都大学の医学博士である木原雅子さんは、一人一人の声に丁寧に耳を傾け、クラスを「お互いの考えの違いを認め合って、どんな発言しても、受け容れてもらえる雰囲気」に変えていくのです。

それにより、中学生たちは自分の良い面を出せるようになり、前向きな希望を持って日々を過ごせるようになります……。

 

それにしても、NHKのドキュメンタリーは本当にすごいです。きっと撮影のスタッフさんたちは、莫大な時間を子どもたちと一緒に過ごしたんだと思います。でないと、カメラの前で、本音を話せるようにはなりませんからね……。

やっぱり、お金と人の確保ができるNHKだからこそ、できることだと思います。

 

番組の中で校長先生が、「今までこんな接し方をしたことがない」的なことをおっしゃってましたが……、校長先生も担任の先生も、学年の先生も、悪気はないんだと思います。

ただ、昔のやり方が通じなくなっていることに気づくのが遅かったんでしょう。

 

もちろん、一回だけ素晴らしい授業をしても、荒れたクラスが変わるわけではありません。

番組でも、まずは子どもたちの自己肯定感を高めることから始めました。子どもたちは、自分もやればできること、自分のことを見ていてくれて、良さをわかってくれる大人がいることを知っていくのです。自分が他者に受け容れてもらえると、他者を受け容れる余裕ができます。そうやって、クラスのみんなが他者に対してやわらかい雰囲気になったところで、「お互いの意見を聞き合い、認め合える授業」です。

木原さんの場合、内容は性教育でしたが、週1回ぐらい、誰もが当事者になって考え、みんなの意見を聞き合う時間があるといいんじゃないでしょうか。授業ではなくて、学活でもいいと思うんです。もちろん、クラス会議でも。

そして、もっと多くの学校で、こういう取り組みを、時間をかけてしてもらえればなと思う次第です。それがいじめをなくすことにつながると思うんですよ。