日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

タワマン上層階で暮す子どもと、エビデンスの問題

国や自治体、あるいは学校が、教育政策を考えるうえで、エビデンスは大事です。 何かをした後、「子どもたちの目の輝きが違います」と報告されても、効果があるんだか、ないんだか、よくわかりません。多くの人を動かし、多くの時間と金をつかって何かをおこ…

日大チア部パワハラ問題と、学校のいじめの共通点

またまた日本大学です。今度は、チアリーディング部で、女性監督によるパワハラがあったそうですね。 この一連の流れの中で、私が気になったのは、大学の保健体育審議会の対応です。 女子部員側は保体審に監督との仲裁を求めた。当初は応じる姿勢を示したも…

学校を「水筒OK!」にするには保護者の力が必要

猛暑のせいで、水筒を学校に持って行ってもいいでしょ、という声が聞かれます。 私個人は、子どもが体調を崩すぐらいならい、持っていけばいいじゃないの、と思います。 しかし、学校レベルで考えると、そう簡単にはいかないのも理解できます。 おそらく、要…

ネットによって、常識は強化される

常識でしょ。 こうするべきでしょ。 よくこういうことを口にする人がいますが、常識的な方こそ、おおらかになっていただけたらなと私は思っております。 先日、高校時代の友人の告別式に参列しました。 告別式に参列するのは、何年かぶりだったので、すっか…

「学校にエアコンがない」問題について考える

日本の夏は、本当に暑いです。 少なくとも中高年の私は、エアコンなしでは生活できません。 先日、炎天下に外を歩き回り、水分補給を疎かにして、軽度の熱中症になりました。 熱中症になるかどうかは、個人差があるはずです。 もともと身体が丈夫かどうかや…

学校には、道徳を教える資格があるのでしょうか。

神戸市で、いじめを受けていた中3年の女子生徒(当時14歳)が2016年10月に自殺した問題で、同級生からの聞き取りメモが隠蔽(いんぺい)されていたことがわかりました。当時の校長が市教委幹部の指示で隠蔽する方針が決まった後、教職員らに「メモ…

日大アメフト部悪質タックル問題がこれほど騒がれる理由

日大アメフト部の悪質タックル問題関連のニュースが、連日、配信され続けています。 おそらく10年前に同様の事が起こっても、これほど大問題にはならなかったはずです。 この問題がなぜこれほどまで、注目されるのかを考えてみました。 理由は三つあります。…

大川小津波訴訟…学校の事前防災をどうするか

教育現場には、昔からずっと変わらない部分もありますが、変わった部分もあります。 私がここ数年で変わったなと感じるのは、学校が社会とつながってきたことです。 それにより何が起こっているかというと、社会で起きたことが、学校にもかかわってくるよう…

前川氏の講演に、文科省が文句をつけた件。

前川喜平・前文部科学事務次官が名古屋市内の中学校で講演し、文科省がそれを非難するような、いやみっぽい質問をメールでしたことが問題になり、それに対する市教委の毅然とした対応が賞賛されています。 昨日、この中学校の校長先生が記者会見をしましたが…

教員が忙しくなった原因は…指示待ち人間をつくりだすから。

学校の先生が忙しい理由がわかりましたよ。 それは、先生が、指示待ちの人間をつくりだしてしまうからです。 先生の周りには、指示待ちの大量の子どもたち、保護者たち、地域の人たちが群がっています。 どうしてこうなるかというと、本人たちに考えさせる機…

教育現場を変えるに違いない、新しいタイプの先生に遭遇

今週は、関西地区の30代の先生にお会いしました。 仮にA先生と呼びます。 A先生は、今までにはお会いしたことがないタイプの先生でした。 今どきの先生は、育ちのよさそうな人が多いんです。親も先生で、英才教育を受けてきたような、とってもさわやかな人た…

教員の「働き方改革」は論理的に解決できない。

タイトルに惹かれて、 「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」(山口周著、光文社新書)を読みました。 著者は、電通で働いた経験があり、海外でも活躍する一流の経営コンサルタントのようです。 「これまでのような「分析」、「論理」、「理性」に…

東日本大震災から7年。原発から10キロ圏内の浪江町の今

2018年1月11日、取材で、南相馬市へ行ってきました。福島第一原発から20キロ圏内にあたる地域の避難指示が解除されましたので、本格的に教育の復興に取り組んでいるからです。また、南相馬市は「ロボットのまち」として未来に向かって動き出しています。詳し…

部活動の数を減らせ、と言うのは簡単。でも…。

中学校の部活動改革の話です。 子どもの人数、教員の人数に対して、部活動の数が多すぎる、それはそうだと思います。 放課後、中学生が町をぶらぶらするよりは、部活動でもしてもらったほうが、教員も保護者も安心です。たとえ少人数の部活でも、入ってもら…

働き方改革と英語の教科化

小学校で英語が教科になること自体は、私は賛成です。 ただ、すべての担任が主導権を握って英語の授業をする、というのは反対です。 今だってすでに忙しいのに、英語の授業も加わるわけですから、「働き方改革」なんてできるわけがないじゃないですか。 文科…

リーディングスキルが大事な理由

本日発売の「総合教育技術」2018年2月号で、リーディングスキルについて書きました。自分でいうのもなんですが、おそらく現在、日本で一番詳しく書いてあります。研究しておられる新井紀子教授のインタビュー、戸田市の取り組み、戸田市の小学校で向上させる…

教育は…市教委の時代へ突入。

一昨年ぐらいからですが、市や区の教育委員会に取材に行くことが増えました。 それは、市教委や区教委が独自の取り組みを行っているケースが増えているからです。 たとえば、部活動問題であれば、多治見市、杉並区などのように。 今までは、スーパー校長先生…

忙しい、できる先生はここが違う!

私は教育委員会の担当者や校長先生を取材したら、発売前に原稿を確認してもらうことにしています。 新聞だと記事の賞味期限はその日で終わりますが、月刊誌は一カ月間繰り返し読まれることが想定されるからです。 間違っていることを書いてしまったら大変で…

貧困層の子どもにもチャンスを!

年末に取材で若宮正子さんにお会いしました。 御年82歳でゲームアプリを開発したすごい人です。 彼女の子どものころは…国が戦争をしていて勉強なんかしなくて、個性がどうとか、それどころじゃなかったそうです。 この人たちが、焼け野原で何もなかったこの…

カリマネと専門家の主張

大学時代に全くお世話になっていない、最近出会ったばかりの先輩よりメールをいただきました。 その方は某有名企業でマーケティングを担当しているそうです。 会社の中ではえらいんでしょうね。 そのため、「世界は自分を中心に回っている」と錯覚していらっ…

教員の働き方改革と同時に、少子化対策が必要。

各地の教育委員会へ取材に行くと、目の当たりにするのは少子化の現実です。 どんどん子どもが減っています。 取材に行った東北地方のある県では、学校の統廃合をどんどん進めています。でも、5年でまた統廃合が必要になってしまうそうです。 東京23区でさえ…

教員の働き方改革 こんな研修はいかがですか。

文科省が有識者を集めて、「働き方改革」という名の業務改善を進めています。 業務改善、大事です。 整理整頓、大事です。 全国の学校では、「この仕事、やる意味ありますか?」のような問答が、研修などで行われていることでしょう。 その動きを否定するつ…

学力上位の県こそ、働き方改革をしてほしい!

10月は、平成29年度の全国学力・学習状況調査の結果で上位になった自治体、学校の取材をしていました(まだ雑誌の発売前なので、どこに行ったかは書きませんが……)。 今回の取材の主旨は学力向上です。ですから、学力向上のために自治体、学校ではどんなこと…

池田中学の事件、校長の責任は重い。

ひどい叱責により、福井県の中学2年生の男子生徒が自ら命を絶ってしまいました。 町にひとつしかない中学校。 生徒数はたったの52人。 町にとって、子どもは宝でしょうに……。 亡くなった男子生徒の気持ちを思うと……つらかったでしょうに。残念でなりません。…

アクティブラーニングと逆行する政治の話。

学校は現在、アクティブ・ラーニング(主体的、対話的で深い学び)を積極的に進めています。 今の大人たちは話し合いがものすごく下手だと思うんですけど、だからこそ、子どものころから鍛えていこうとしているわけです。 国は、みんなが多様な意見を出し合…

全国学力調査と素晴らしい授業の話。

平成29年度の「全国学力・学習状況調査」の結果を受けまして、現在、上位県、上位政令市の取材を行っています。 昨日はある小学校で算数の授業を見せていただきました。 子どもたちの動き、反応がよかったです。31人が先生の指示でさっと動きます。 なんて書…

教員の働き方改革…「おもてなし」の矛盾

文科省では有識者を集め、教員の「働き方改革」の議論を進めているようです。 昨日は、社員の過労自殺という事件を起こした、電通の裁判もありました。 働き過ぎている人がこの国にはたくさんいて、教員だけの問題ではないということです。 国全体がこのまま…

先生が尊敬されない問題について。

子どものころ、「先生の言うことを聞きなさい」と言われたものです。 怒られるのは子どもが悪いから、と決まっていたのです。 でも、最近は「うちの子は悪くない」と考える親御さんもいるようで、先生の言うことを受け入れてくれるとは限らなくなりました。 …

文科省のガイドラインと学校現場がかけ離れている件について。

現在、スクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW)について調査中です。 それでわかったのは、地域によって驚くほど配置状況が違うということです。 この件に関しては、文科省が今年1月にガイドラインをつくって公表しているのですが、…

中学校の部活動問題は、対策を各自治体が考えるべき

中学校の部活動問題について記事を書くため、先月、取材しておりました。 この問題に関しては、私はずっともやもやしていました。 部活動に対しては、いろいろな意見があり、それぞれに説得力があり、いったい誰の声を聞いて対策を考えるべきなのか、つまり…