日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

中学校の部活動問題は、対策を各自治体が考えるべき

中学校の部活動問題について記事を書くため、先月、取材しておりました。

この問題に関しては、私はずっともやもやしていました。

部活動に対しては、いろいろな意見があり、それぞれに説得力があり、いったい誰の声を聞いて対策を考えるべきなのか、つまり、この問題のゴールがよくわからなかったからです。

 

今回、「総合教育技術」9月号の取材で、部活動問題を主導しておられる学習院大学の長沼豊教授に話を聞きました。先進事例として、多治見市教委と、杉並区教委の担当者にも話を聞きました。

 

取材する中でわかったのは、先生の中にもいろんな人がいるということです。

①部活動が大好きで生きがいになっている先生

②大好きとまではいかないけれど、部活動の顧問として指導ができる先生

③部活動の顧問はできても、指導ができない先生

④部活動の顧問をしたくない先生

 

私が思うに、なぜこの問題がここまで長引いているかというと、一つの解決策でなんとかしようと、みんなが思っていたからです。

昭和時代のやり方ですと、多数決で人数の多いグループの意見が通り、少数派はあきらめるしかありませんでした。

しかし、時代が変わりました。④の先生たちは少数かもしれませんが、この人たちも納得のいく解決方法が求められているのです。

つまりですね、一つの解決策を決めて「全員がそれに従いなさい」ではなく、①から④それぞれの人たちが納得できる、複数の対策を同時進行することが必要だということです。

しかも、文科省が決めて、上から指示を出すのではダメなのです。

都会と田舎では対策が違うはずですし、県民性とか、スポーツへの考え方、保護者の考え方も地域によって微妙に違うからです。

その地域に合ったやり方を、各自治体が考えて実行することが求められています。

先進事例として「総合教育技術」9月号では多治見市と杉並区を紹介しています。どちらも素晴らしい、思い切ったチャレンジだと思います。

 

結局、何が問題かというと、文科省が絶対的存在で、何事も文科省が決めるのを待っている、という教育界の体質なのです。

長い間、文科省の言いつけに従ってきすぎたために、いつのまにか、自分たちで考えることをやめてしまっていたのではないでしょうか。

学習指導に関しては、学習指導要領という一つの基準をみんなが守ることは必要だと思います。

しかし、部活動に関しては、世の中が複雑になりすぎて、一つのやり方ではみんなを納得させられなくなっていたのです。

今、求められているのは、発想の転換です。

文科省が何とかしてくれるのを待つのではなく、それぞれの自治体が頭をひねって対策を考えることが求められています。