日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

リーディングスキルが大事な理由

 本日発売の「総合教育技術」2018年2月号で、リーディングスキルについて書きました。自分でいうのもなんですが、おそらく現在、日本で一番詳しく書いてあります。研究しておられる新井紀子教授のインタビュー、戸田市の取り組み、戸田市の小学校で向上させるためにどんな授業が行われているのか、まで書いています。

 

そもそも、リーディングスキルとは何かといいますと……。

リーディングスキルを単純に日本語にすると、「読解力」になってしまいますが、国語の読解力とは違います。もっと基礎的な読解力をさします。

具体的には、係り受け、「それ」「これ」は何をさしているのかなどの6つの項目があります。

たとえば、AはBと同じである。BとCは異なる。AとCは同じか。

みたいな問題に対し、「同じである」と答える子どもが多く、それはつまり、文脈を正しく読めないからだ、ということです。

要するに、学力以前の問題なのです。

文脈を読めているかどうかを判定するために、リーディングスキルテストというものがつくられました。これが一昨年のことです。まだ研究がはじまったばかりです。

昨年秋、新聞報道で、「中高生の6割は教科書を正しく読めていない」ことがニュースになりましたが、これは、リーディングスキルテストの結果をもとにしています。

リーディングスキルテストの結果を見ると、成績が高い子どもは、リーディングスキルが高いかというと、そうではなく、高い子も低い子もいるそうです。

そして、これがものすごく重要なんですけど、リーディングスキルと進学先の高校の偏差値には高い相関関係があるそうです。つまり、リーディングスキルが高い人は、偏差値の高い高校へ進んでいるんですよ。小学校では成績が良くても、中学校ではあまり……という方はもしかすると、リーディングンスキルが低かった可能性があるということです。

で、このテストを開発した新井紀子教授によりますと、リーディングスキルは、自然に身に付くものではなく、そのための訓練をしないと身に付かないそうです。私自身はそんな訓練をした記憶がありませんが、多くの大人は忘れてしまっているだけで、何らかの訓練をしているはず、だそうです。

 

例えば、優しいお母さんが、なんでも先回りして言ってくれて、子どもは、「うん」と「単語」しか言わない、そんな家で育った子どもは、ものを深く考えようとする機会を逃している可能性がありますよね…。文脈を読む必要なんかないわけです。難しいことはお母さんが翻訳してくれるから。

こういうちょっとしたことが、影響している可能性はありますよね。

 

しかし、学校にできることはあるはずです。

 

一回目にこの企画をだしたとき、編集長のOKがでませんでした。現在、研究が始まったばかりで、指導法が確立されていないからです。

数か月後に、再び企画をだしたところ、「そんなにいうなら、やってみていいですよ」と言ってもらえて、相変わらず指導法は確立されないままですが、実現したのです。

私は、これはなんとかしないと~と強く感じているのですよ。リーディングスキルはすべての学力のベースになるものであり、英語より、プログラミングより、まずはこっちが大切なんじゃないの? と思うからです。

指導法が確立されるのは何年先になるのかわからないですから、それまで、今の小中学生を放っておくわけにはいかないと思うんですよ。

だから、記事をお読みになった学校関係者、教育委員会の方たちが、一緒に指導法を探していただけたらなと思っております。

みんなで研究したほうが、早く見つかるんじゃないかと思うからです。