教員が足りない、では、どうすればいいのか
教員の働き方改革に関連して、必ずでてくるのは「教員を増やすべきだ」という話です。忙しすぎるのは人の数が足りないからだと。
中教審の偉い人たちはちょっと言い方が違って、「教員定数を改善すべきだ」というのです。こちらは人数を単純に増やすのではなく、教員定数のルールを変えるということです。
いずれにせよ、学校現場は人が足りないことは確かです。
ずっとそう言われたきたのに、なぜ教員定数の問題が放置されているのか、中教審のある委員の方にお会いしたときに聞いてみました。
理由の一つ目は、文部科学省に言ってもしょうがないことだからです。
先生たちは、教員が足りないと、文部科学省に訴えます。
そもそも、それが違うようです。
文部科学省には、教員を増やす権限がないからです(教員を増やすにはお金がかかり、文部科学省はお金を動かすことができない)。
先生方が文部科学省の求めるように仕事を頑張ってやって、文部科学省から高く評価されて、文部科学省の人と懇意になったとしても、定数改善には直接つながっていかない、ということです。
では、誰に言えばいいのかというと、権限を持っているのは、内閣府と財務省です。
こちらに言わなくてはいけないのですが、内閣府と財務省となると、話が非常に大きくなります。国レベルで考える必要があります。
まず、この国は少子化が進行しています。今後、生まれてくるであろう子どもの数も試算されていますから、どんどん教員を採用していったら、将来、教員が大量に余ってしまいます。だから、そんなに簡単には増やせないわけです。
理由の二つ目は、「教員の定数改善」も重要な問題ではありますが、世の中にはいろいろな問題があるからです。今まで争ってきたのは、「幼児教育の無償化」や「高校の授業料の無償化」でした。
例えば、
①教員の定数改善
②幼児教育の無償化
③高校の授業料の無償化
④ICT機器を小学生に一人一台
どれがこの国にとって、今、一番大事だと思いますか?
私は仕事の関係で学校の先生にお会いする機会が多いので、ずっと①だと思っていました。今も思っています。
でも、もっと視点を上にあげて見た時にはどうでしょう。
「内閣府は、選挙での票集めのために、幼児教育や高校を優先した」という見方もできると思いますが、この中で一番世のため人のためになる政策はどれか、と聞かれたら……考えてしまいます。どれも重要です。
限られた国の予算を配分するために、優先順位を決めるのは非常に難しいことであり、その決断をするのが内閣府、あるいは財務省です。
そういう意味では、先生から政治家になって、内閣府にもぐりこみ、強く訴えるという方法があります。
あるいは、ロビー活動などをして、教員定数の改善に本気で取り組んでくれる議員を増やし、その人たちに選挙で投票する、という方法もあります。
いずれにせよ、文部科学省を相手に文句を言っていてもあまり意味はなく、社会を意識して行動しないと、変えていけないということでしょう。
こんなことを考えていると絶望的になりますが、確かに、文部科学省は教員を増やせないでしょうが、仕事を減らすことはできるはずです。
英語もプログラミングも専科教員に任せる、SDGsはやらなくてよいなど、大胆な指示をしていただきたいものです。