日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

文科省は、アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいる

教員免許更新制度の廃止の話から、いろいろ考えてみました。

 

教員免許更新制の廃止に向け、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案が2022年2月25日に閣議決定されました。国会で成立すれば、施行期日は7月1日だそうです。

この法案に関連して、今、問題視されてるのは、ただ廃止するのではなくて、その代わりに校内研修をやりなさい、教育委員会は教員の研修履歴を把握しなさい、などと書いてあるからです。

つまり、先生たちは毎日、「トイレに行く暇もないほど忙しい」と言っているのに、負担は全然減りそうもないわけです。

 

なんでこういうことが起こるかというと、文科省は「その道」の専門家の意見を参考にして、方針を決めているからだと思います。

文科省では、たくさんの専門部会をつくって、同時進行でいろいろな議論を進めています。その会議に集められているのは、「その道」の専門家たちです。その結果、どうなるかというと、「その道」だけ考えたときにはベストな意見でまとまるわけです。

 

例えば、「教員の資質向上」という部分だけ考えれば、研修履歴を義務付けて学び続けてもらおうと考えるのは、まっとうな意見だと思います。教員になりたい人がたくさんいて、みんなのんびり働いている時代だったら、これでもいいように思います。

 

ですが、今、求められるのはそういうことではないと思います。

文科省が進めていることを、A群とB群に分けて考えてみます。

A群 GIGAスクール構想、主体的・対話的で深い学び、個別最適な学び、インクルーシブ教育、道徳教育などなど、いろいろあります。全部大事です。

B群 働き方改革に関係すること

 

A群は、文科省が「もっと充実させなさい」と言って、教員にさらなる努力や負担を求めているものです。

そう言っていながら、その一方で、B群は負担を軽減しようとするものです。「働き過ぎだから早く帰りなさい」と言っています。仕事量を減らさずに。

つまり、アクセルをべた踏みしながら、ブレーキを少しだけかけています。

 

文科省に知り合いはいないのですが、申し上げたいのは、全部のこと完璧にやろうとすると、もの凄い負担になってしまう、ということです。

先生たちが普通の市民生活を送るには、国としてやりたいことに優先順位をつける必要があると思います。

今、一番優先しなければいけないのは何でしょうか。

私は、「働き方改革」だと思います。教員になりたい人が減っているし、どんどん辞めてしまっています。忙しすぎると、子ども一人一人をよく見る余裕がなくなります。これは大問題だと思います。

 

B群を優先するとしたら、何を決めるのも「働き方改革」ありきで、A群の負担をいかに軽減するかを検討する必要があり、専門家の皆さんには、それを議論してもらえばいいと思います。

文科省さんに、考えていただきたいのは、「その道」の専門家の意見だけを聞くのではなくて、教育界全体を見ている人の意見も聞く、ということです。

 

そして、「働き方改革」というのは、雑務を減らすとか、勤務時間を短くするとか、そこだけ見ていても解決しません。学級担任制のままでいいのか、特別支援教育をどのように行うのか、そういうことも含めて、総合的に考えていく必要があるはずです。