日本の教育を考える

日本の教育が少しでも良い方向に進化していってほしいなと願いつつ、感じたことを書いてみます。

オンライン授業を実施している熊本市から学ぶこと。

公立小中学校の場合、現在、オンライン授業ができる学校とできない学校があり、教育格差が生じるのでは……と問題視されています。

そんな中で成功例として紹介されることが多いのは、熊本市です。

現在、熊本市内の全小中学校でオンライン授業を実施しているそうです。それができたのは、市が2018年度から教育ICTプロジェクトを進めてきたからです。

おそらく日本中のどこの市でも、近年、教育のICT化推進を掲げて、研究指定校などを設置して少しずつ進めてきていたはずです。

いったい熊本市は何が違ったのか。

 

おそらく熊本市は「本気だったから」だと思います。

その背景には、熊本地震があります。

熊本地震が発生したのは、2016年(平成28年)4月14日(木)、21時26分でした。

翌15日(金)から、熊本市内の全小中学校(小学校95校、中学校42校)は休校になりました。

同時に、多くの学校は避難所になりました……。

5月に入り、徐々に学校を再開させていき、全小中学校が再開したのは、5月10日(火)でした。

休校期間中に先生たちは、歯がゆい思いをしたと思うのです。その当時は、熊本市の学校は特にICT[化が進んでいるわけではありませんでしたし、全国の他の地域の学校は普通に授業を行っていたわけです。熊本県の休校になった学校の子どもたちだけ、学習が遅れてしまうのですから……。

このような経験があったからこそ、また休校になっても大丈夫なように、本気で考え、取り組んできたのでしょう。

 

誤解のないように書いておきますと、熊本市では、1人1台が実現しているわけではないそうです。現在、市内の小学校にあるのは、3人に1台のLTE回線対応のiPadです。

3月末にアンケート調査を行ったところ、3分の2の家庭は、ネット環境があって家庭のPCなどの端末が使えることがわかったので、それを使ってもらうことにし、環境がない家庭には学校のiPadを貸し出し、全員がオンライン授業に参加できているんだそうです。

LTEの端末にしたというのもポイントです。

休校になったら家庭でも学習できるように、wifiがなくてもつながるようにしたわけです。

 

何が言いたいのかというとですね……。

熊本市がオンライン授業ができているのは、困難な状況を経験してきたからです。

現在、オンライン授業を実施できていない学校の先生たちは、きっと歯がゆい思いをなされていることでしょう。

でも、急に準備が整うわけではありませんから、今はできることをするしかありません。

ただ、この経験を今後に生かし、たとえ休校になっても子どもたちが学べるように、学校のICT化を本気で進めていっていただきたいなと願っています。